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烙印

2025.09.12 Fri 「 [PR]
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2007.10.25 Thu 「 脱走ピエロ携帯
吸い込んだ風は予想外に乾いていた。雨でも降りそうな澱んだ空気に、それはあまりにも不似合いで、榛名は無表情を更に険しくする。ちらりと振り返った先で、ファーストに転がり込んだ奴が土埃を立てたのが見えた。ふざけんなよ馬鹿野郎。目に土が入って痛くなったらどうしてくれるんだ。そう思って漸く目を逸らす。
ベンチで待機してた女の子が、少しだけ震えた手でスポーツ飲料が差し出してくれた。ああ、ちょっと前に可愛いと思っていた子だ。でも、期待外れ。そんな悔しそうな歪んだ顔みたら興ざめだよ。「どうも、」と言ってそのコップを受け取りながら心の中で言ってやる。飲んだのはいやに薄くて冷たい。それでも渇いてた喉には染み込んでいく。
そうか、渇いてたのは俺か。
口の中で浮き彫りになったじゃりが舌に不愉快な違和感を与えるのに、榛名はまた眉を潜め、ベンチに大仰に座り込んではぁと溜息をついた。
今ので相手がテイクワンベース。ついでに一点入れられてグランドの状況はノーアウト満塁と、ついさっきまで榛名がマウンドに立っていたときと変わららない。今ので六点差?全く、やってられない。
それでも榛名にとってはどうせ捨てた試合だ。先発したやつが点を取られたのが悪かったわけで、俺は何も悪くない。そう勝手に頷いて、ふと、試しに投げてた手首を回してみた。コリ、と関節がなって何故か変に不快だった。アホらし。
カキーンという威勢のいい音がして、ああやっぱり打たれたなと諦めたように顔を上げて飛んでいったボールを目で追う。見事ホームランだ。絶望的な顔をした監督を見るよりも明らかだ。俺達の負け。完敗だ。無意識についた溜め息を周りから睨まれ、俺は大仰に肩を竦めた。
…そこで、俺はやっとタカヤのことを思い出した。
見ると、奴は呆然と突っ立っていた。何してるんだと気になって眺めていたが、一向にタカヤは動こうとしなかった。チームメイトが慰めるように肩を叩く度にそのまだ小せぇ身体を揺らすばかりでろくな反応をしない。表情は見えなかったが、その背中はひどく惨めだ。

そうだおれは。あそこに、たっていたくなかった。

突然ぱっと頭に浮かんだ言葉に驚いて、俺は思わず慌てる。そんなハズは無い。ただ八十球投げたから止めただけ。あの馬鹿教師のせいで壊れた体をもう二度と同じようにしたくはないだけ。自分の体を自分で守って、何が悪い。
けれどその言葉は消えなかった。フラッシュバックする、指を折り曲げる自分の姿。発作的な記憶遡航に目眩を覚えながらも、榛名は確かに気付いていた。
まだ、今日俺は八十球投げていない。


ふと、タカヤが俺を見たのが、目に入った。



***
榛アベというより榛名。
あの試合、榛名も何かしら辛かったんじゃないかと思います。
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2007.10.13 Sat 「 きす みー携帯
※あの、いやその忘れてたなんてそんな……、いや、違うんですよ。朝顔を洗う前までは覚えてたんですよ。その時には色々ネタがあったんですが顔洗った後は綺麗さっぱり…というわけで突発的すぎる会話文

「ツナ、今日が何の日か知ってるか?」
「……うん、なんだっけリボーン。昔さ、高校時代の生物の先生が俺に忘れちゃいけないって言った比の割合。俺さぁ、死ぬ気で覚えろって言われたのに覚えて無いんだよなぁ。どうしよう。多分あれDNAとかAABBとか、その辺りだった気がするんだけどなんだったかなリボーン」
「…それはもしかして検定交雑あたりのことか?ノートに走り書きで「死ぬ気で覚える!」とかお前が素で書いてて俺が心底引いた」
「そうだそれだそれだよリボーン!ていうか人のノート勝手に見るなよな!」
「家庭教師としては当然だぞ。大体お前は落書きが多すぎんだ。唯でさえ頭悪ぃんだからまともに聞いてやがれ。…そうだ思い出した、死ぬ気でどうって書いた隣にもへったくそな絵が…」
「余計なお世話だ!まったくリボーンは…昔はとりあえず外見はとっても可愛かったのに、今じゃ未来変わって呪い解けちゃったからふてぶてしいくらいよく育っちゃって。」
「カッコイイだろ?」
「知らねーよ、寧ろ俺は小さいお前の方が好きだった気がするし。先週からのOPのリボーンの可愛いさ異常だったよね本当。しばらくそこだけ再生して笑い転げてたよ」
「……」
「…え、なになに。傷ついちゃったの?」
「嘘嘘。リボーンは確かに認めたくないけどカッコイイよな-。詐欺みたいに」
「…ツナ、」
「ん?」
「今日は何の日だ?」
「……俺の誕生日イブ?」
「(ジャキッ)」
「?!ちょ、ちょちょちょ!リボーンさんマジ!目がマジ!危ないから!自分の誕生日に人殺しの記憶が残るのは嫌でしょっ」
「覚えてんじゃねーか」
「あったりまえじゃん。誕生日一日違いな上に一回祝われ勘違いしたのに忘れられるハズないだろ?」
「俺に盾突こーたーいい度胸だなぁツナ?(ジャカ)」
「あはは、いいじゃんいいじゃん。照れ隠し照れ隠し」
「…じゃあお前からのキス一度、で詫びを貰おうか?」
「……なに、その恥ずかしいのは」
「いいだろ?誕生日じゃないか」
「はいはい」

(たくさんのありがとうと今日の日におめでとうを囁いて)

「…ああ、勿論誕生日プレゼントは別だよな?ボス」
「…何やらす気ですか」


****
リボ様誕生日おめでとうございます!
…色々ぐっだくだですがすみません
2007.10.02 Tue 「 ひかりに告ぐ携帯
頭が割れそうに痛いとは、つまりこういうことらしい。
脳みその内側で血がどくどく音を立てながら逆流して、神経をおかしくする。ぼんやりとした思考のまんま、ぜぇはぁと息を吐いたり吸ったりを繰り返しながら、骸はふと目を伏せた。寝付こうとしてもこの痛みで寝付けないことは大分学習してきたものの、体は眠りを求めている。
「だいじょうぶか、骸」
心配そうに聞こえる声も、今はほんとうにどうでもいい。ディーノは更に「何か欲しいか」、と更に声が続くが、こっちは酸素をたくさん得ることで手一杯だ。寧ろ二酸化炭素を増やす原因は即、此処から出ていって欲しい。
「骸、むくろ、みず、水とか飲まねーと!汗、ひでぇぜ!?」
それがどうにも伝わってくれない彼はおろおろとするばかりで、要領を得ないままコップに水を注ぐ音。そういえばこいつどっかなお坊ちゃまだったな、と思ったら苛々してきた。看病の仕方も知らないのか。僕より年上のはずなのに。
「いり…ません……」
意思表示でもしないと駄目だと悟り、息も絶え絶えに口に出すと、案の定「でも、」と食い下がられる。面倒だと内心舌打ちをして、こうなったら何か代わりに頼むことにする。
「……アイス…ノン」
「へ?」
「か…氷、まくらを…」
ぜぇ、と吐き出しながら頼むと数秒固まった後に「アイスノンだな!」と彼は大慌てで部屋を出ていく。遠ざかっていく足音に少しだけ安堵して、薄く目を開いた。天上にぶら下がった人工の光さえ眩しい。脳が相当参っちゃっているようだ。光に弱いだなんて。
(ああ、でもそうかもしれない)
この目はきっと、光に弱い。

タオルで包まれた氷枕が頭の下にひかれ、額に同じくハンカチで包まれたアイスノンが乗った。熱い身体には心地いい。
「他は?何かいるか?」
少しは落ち着いてきたのか、ディーノの声音に余裕が見えた。無意識に瞼を閉じながら首を振る。僕も一時的だろうが痛みが緩慢になってきた。どちらかというとこのまま眠ってしまいたい。その旨を伝えると、「ん、寝とけ」とほわりとした声がした。はぁ、と息を吸い込んで、そのまま意識がぷつりと切れるほど深い眠りに入った。


『きっもち悪い目だな』
幼い頃に、そう言われたのが多分始まりだった。言葉の魔力とは恐ろしい、誰かがそれを拒否すれば瞬く間に伝染していく。
青い瞳と赤い瞳。左右で違う色。
自分が周り大勢と違う。それを決定づける絶対的な相違点。
人と違うことが罪だった。恐れられることが罰だった。
何のために?誰のせいで?
そうやって一度独りになったら、数えられるほど限定されたもの信じられ無くなった。孤児だった骸には親も兄弟もいない。施設でも妙に好いてくれた少年二人以外に、誰とも交流しなくなった。
成長した後は利用することを覚えた。自分の造型はそれなりに優れているらしいことを武器に、特に目立つ赤い右目だけを隠して甘く笑った。あれだけ恐かった人間なんて、すごく簡単だった。
汚れてる。そう思ったら薄い笑いが漏れた。



ハッと、意識が覚醒する。途端吸い込んだ空気が器官に引っ掛かり激しく咳込む。上体だけ起こして呼吸を正していると、アイスノンが落ちてきた。手で受け止めるとジェル状のそれは完全に溶けていて生温い。どうやらかなりの時間を寝ていたらしい。あれだけあった熱はほとんど引いたようだった。
喉が渇いた。そう思って無意識に、枕元に置いてあった水を手に取り飲み干す。息を吐いて、ふと足の辺りに重みがあるのに気付いた。
「……看病はどうしたんでしょうねぇ、あなたは」
ディーノが、規則正しい寝息を立ててただいま絶賛お休み中だ。呆れて物も言えない。溜息をついて、しばし彼を見つめた。
彼の髪と顔立ちは、イタリアだったかの血が入っているらしい関係で、ひどく日本人ばなれしている。金髪碧眼、ついでに無駄に整っているせいでバイト先でも超絶な人気だ。おかげさまで仕事がとても忙しい(自分もまぁそれに該当するわけだから人のことは言えない)
『骸の目ってキレーだよな。』
奨学金だけでは不安で大学の学費の足しにと始めたバイト先で会ったのがこのディーノという男だ。そして会って一日目にして上記のような台詞を言われ、とても目を丸くしてしまったのを覚えてる。始めて言われたのだから仕方ない。
呆然としてる間に相手にあれやこれやと会話を弾まされ、いつの間にかすごい懐かれて今に至るわけなのだが、今でもこの関係が謎でしかたない。
人間が嫌いだった。目の色も自分のことも全部大嫌いだった。
でも少しずつ全部が過去形になっていく。なんて憎いんだろう。こいつのせいで、憎しみが全部消されてく。
蛍光灯でさえ眩む目が、この光の塊に、敵うはずが無い。
「………はぁ」
もう一度、寝てしまおう。でもこのまま寝たら足が痺れそうだ。その首根っこを引きずって(それでも起きない。危機感が無いというより馬鹿だ)体を足からずらした。
よし、と頷いてまだ浮ついた思考のままこれまた少し温い氷枕に頭を再度乗せた。

それからしばらくして目覚めたディーノはドアップで目の前にあった骸の寝顔に思わず狼狽したり赤面したりて忙しいことになるのだが、それはまた別の話。


***
別名にて企画様に献上したディノ骸。別名だったのはうちのサイトがディノ骸サイトじゃなかったからデス(鳴呼
2007.09.18 Tue 「 哀れんだ微笑携帯
殺せよ。
もうこんな世界たくさんだ。全部偽りで全部作られて俺はただのあんたの操り人形で。聞けよ、あんたがここまで手繰り寄せて俺を縛り付けたんだろうが。頭がおかしくなりそうなんだよ責任持てよ早く殺せころせころせころせころせころせはやくっ!

「ねぇ、祐…」
つぅと、泣き崩れて掠れた鳴咽を上げ続ける彼の頬を蛍は撫でる。そうして憐憫の情をたっぷりと含ませ、微笑んだ。
「殺してあげるほど、おれは優しくないよ」
女のように白い手が、そのまま彼の頬に強く爪を立てる。



***
テストなんて無くなればいいよ(関係無いよ
2007.09.13 Thu 「 さよならきみといたせかい携帯
好きであろうが嫌いであろうが、この運命は人の感情ひとつでは何も変えられない。
でも今少しだけ思う。僕がもし本当に彼のことが好きで、あの言葉が本心から紡がれていたとしたらどうだろう。
彼に 世界が 、 僕が 救えた ?
馬鹿馬鹿しい。首を振る。
弐号機の赤いボディをすぅっと指でなぞり、無意識に口角を上げた。
さあ、唯一の選択をさせて。僕の運命はそれでも、君にしか変えて貰えない。

(さよならさよなら、ぼくときみがいたせかい)





えーと誕生日らしいのでカヲル。おめでとう!祝ってない内容でごめん!!
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