雲雀がないた。
「やまもと、たけし」
ぽたぽたと垂れる涙があんまりにも綺麗なもんだから、俺は瞬きも忘れて見入った。
雲雀が俺のことを呼んで、泣いている。夢みたいだ。
「やまもとたけし」
ぎゅうと抱き締められても俺はふわふわとしたままで、嗅ぎ慣れた雲雀の匂いをゆっくりと吸い込む。
なあ、ひばり、ひばり。何がこわい?誰に泣かされた?
「きみに」
「おれに?」
雲雀はとうとうと、君は前線に突っ込み、弱いくせにそうやって僕のことを守って死んだ。何にも考えてない君に腹が立って、涙が止まらない。と俺に説教をした。
「よくわかんねーなー。それ、夢?」
「そう」
「…理不尽じゃね?」
楯突くの、と怒られて、俺はよくわからないままごめん、と謝った。雲雀は泣きながら俺をぼかりと殴った。痛い。
「…君は早く強くなって、僕の相手だけしていればいいのに」
「なんかそれ、雲雀に殺されそうだな」
「そうだよ。僕にしか殺されてはダメだよ」
「あはは、ほんと、雲雀は理不尽なのなー」
俺にはよくわからない。
最近、ようやく何かとんでもないことに巻き込まれているのだと自覚をし始めたところだ。でもそれでツナや小僧を恨んだりなんかしないし、困っているならいつだって駆けつけて、助けてやりたい。
大事な人を守るためならと、剣士としての覚悟も未来で学んだ。でも今はやっぱり、野球をしていたいと思う自分が、一番自分らしいと思う。
でも、雲雀。俺はお前を守って死んで、そうやって綺麗な涙を流して貰えたら、それはいいことだなあと今少し、思えた。馬鹿みたいかな。なあ。
そんなことは口には出さず、代わりにキスでもしようとして、嫌がられた。
理不尽、だ。
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復活最終回、おめでとうございます。あまり関係ない内容ですが、本当にありがとうを言いたくて。
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