「雲雀は桜嫌いなのな」
「別に桜が嫌いなんじゃないよ。桜に負けた自分が嫌だから嫌いなんだ」
でなければこんなところ陣取るはずないじゃないと、応接室の窓から外を見やる。若葉が混ざりつつあるも、それでも尚、美しい桜。嫌でも目に入るソレを、最近は殆ど綺麗だとは思えなかった。
「でも俺、お前は桜嫌いなんじゃないかって思ってたんだ」
「なんで」
「だって、桜って“群れてる”だろ?」
群がって、互いに身を寄せ合い大きく見せようとするその姿。
「でも、散る時は必ず一人だ」
誰も一緒には堕ちてなどくれはしない。地面に落ちれば全てが同じ。栄養分として吸い取られていく。
「だから、お前が大嫌いな人間によく似てるんだろうなって」
山本の声はこれっぽっちも真剣味を帯びてなかった。偉そうなこと言うくせに。睨み付けてしまってもよかったのだけれど、今振り返ったら、きっとあの大嫌いな笑みを向けてくるのだろう。だから窓の外に揺れる淡いコントラストを見続ける。
「……僕の嫌いな草食動物達は、あんなに綺麗で切ないようなもんじゃないよ」
雲雀は不機嫌にそう言った。
リボはまらさられた初期のが出てきた。
でも同じネタを書いていらした方の文章があまりにも綺麗すぎて(大ファンだし)、前半を仕上げてまで作り上げたくなかったので此処で。
こういうネタが定型文に残りまくってます、本当。
PR