悲しい顔が心底似合わないやつだと思う。ぼんやりと人口の暗い照明に照らされた奴の顔は、ひどくくたびれて、悲しいのを押し殺しているように見えた。透き通った銀髪はまだ少し、濡れている。
思えば、こいつは昔から人前ではが決して泣かない。人の心配の種にはならないように、いつもぴんと背筋を伸ばし、快活に笑う。それがこいつの癖だ、悲しい時の。それが気にくわなくて、それを無理に解かせてしまったのが、そもそもこの関係の始まりだった気がする。
こいつが泣くのは俺の前だけ。
それは面倒臭く、らしくもない優越感にも俺を浸らせる。
だから、
「十秒だけ、お前の好きにさせてやろうか」
薄い色彩の瞳を覆う瞼をぱちぱちと瞬かせ、ルイは口元を苦笑するように歪める。
「それじゃ、キスくらいしか出来ないじゃない」
「しないのか」
「…ずるいなあ」
笑わせてやるのも、俺の役目だろう。
***
発掘ったルイカオ。じぶんで悶えた。さすが俺得
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