彼は僕のために泣いたりするんだろうか。
彼は僕を思い出してくれたりするんだろうか。
彼の手を離した時にそんなことを考えた。
宇宙の音がする。宇宙服の中で出来た透明な音がする。
耳鳴りだ、これは、僕の罪悪に対する。
(そんなこと認めないだろうけれど)彼は優しいから
きっと僕を思い出して泣いてくれる。
きっと僕のためにずっとずっと忘れないでいてくれる。
ああ、なんて幸福、なんて罪深い。
彼に残した未来が、僕のせいで閉ざされるかもしれないなんて。
(けれど君はきっと、そのうちに僕を忘れるんだ)
優しい君に手を差し延べる優しい誰かを願いながらも、そんな奴が現れるくらいなら君も一緒に連れてきてしまえばよかった、なんて思って、僕は強く目を閉じた。
***
ルイは優しくて矛盾した残酷な生き物だといい。
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