「佐為、俺、これでもお前に会えて良かったって思ってるんだぜ?」
ヒカルがなんだか真剣な顔をしてそう言うから、なんだかちょっとだけ面食ってしまう。泣きそうになりながらもそうですかと静かに笑った。
「ぁ、お前信じてないだろ!」
『16の十七、小目』
「ぅげ……っ、」
さぁ、どう来る。扇子を口に軽くあて、クスクス笑う。
言いたいことなんて、お見通しなのだ、文字通り。ヒカルの意識を共有して存在している身なのだから。それだというのに、たまにこの、(恐らく)まだ小さな原石はそのことを失念する。
(それでも俺は、お前がいなければよかったと思うんだ)
(そうしたら、アキラの前に立つのは俺だったのに)
取りあえず基本に帰ってヒカル+佐為。
ヒカ碁熱が本当に凄い。
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思考が一瞬だけ麻痺したような錯覚に陥った。ぐるぐるする。ああそうだドラゴンが来てるんだった。そう思って、悪い視界の中で上を見る。目眩がして気持ちが悪い。守るって言ったのに、戦場での俺はあまりにも無力だった。そういや俺って兄貴よりレベル低いんだっけか。よく守りたいなんてなんて我が儘を言えたものだ。呆れてしまう。そんな場合でも無いのに思わず自嘲的に頬を歪めてしまった。むせ返るような仲間の傷から流れ出た血の臭いに泣きそうになる。そういう自分の手も、赤いものでぬるついて、思わず相棒を取り落としそうになった。そうだ、お前がいたんだな。なんで忘れてたんだろ俺。
『向こうだ、』
声がした。向こうに兄貴が居る。見付けた。今度こそ。
意味の無い叫びを喉から迸しらせ、俺は重く蒼い刀身の血糊を払って走り始めた。
絶望なんて…沢山、だ。
無事だったにしてもあんな終結の仕方は強引すぎやしないか(鳴呼