「エド、これからどうしたい?」
メイはいつものようにぼくにニコニコと笑う。いつも通りにぼくもうた、と小さく返答したら、メイは歌ね!とまた笑ってくれた。
未だに体の形成が曖昧な彼女はいつだって重いリスクを背負っているというのに、毎日此処に来てくれている。一度大丈夫なのかと尋ねたら、気にしなくていーの!と逆に怒られてしまった。「エドの方が早く治るんだから、早く治さなきゃ!」
ああ、そういえばそろそろ世界樹の取り外しも済むそうだ。守り続けたはずのそれが誰かの手に渡るのはどこか複雑だったけれど、ぼくにはまだ難しい感情だった。
あれで青空が本当に見れたらよかったのに。
今でもそれが、残念でならない。
エリザの望んだ青い青い空。
それでも。
「フィアちゃんも錬も、エドがこんっなに上手くなったって知ったら、驚くだろうねっ」
メイが笑う。それに少しでも返せるように口元を緩める。二人にも早く会いたい。歌を、皆でうたいたい。あの時のように。
「せーの、」の掛け声で口を開く。懐かしいラジオで流れた綺麗な歌。それでも世界は美しいと、二人は声を揃えて歌う。
エドは不図、目を閉じた。若い彼女の背景を彩る青を思う。ただ、どうか。
遥かな空に届くように、と。
ウイザーズ・ブレインでした。かなりマイナーですが好きな作品です。
…でもまた微妙だなぁ。エド好きなのに。再登場期待してます。
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