(きみがあんまり繊細に傷つくものだから)
荒治療が効いたのかどうかは、あんまり想像がつかなかった。だって、別に医者のまね事をしたんじゃない。自分に対して行ういつもの応急処置を、他人に応用してやっただけなのだ。銃弾を引っこ抜いて(麻酔は無し)、傷口適当に縫って(勿論同上)薬も塗らずに包帯巻いただけだし。
けれど驚いたことに、餓鬼は素直に痛いと喚いた。あれだけ醒めた野郎だったから、歯でも食いしばって我慢するかと思えば。どうにかも痛感を受け止めやすい体らしい。情けない。
「ま、大方どこかの坊ちゃんってところか」
「………」
暫くしてからそうやって言ってやると、黙って首を振る。おーおー、涙浮かべてご立派ご立派。それだけの仏頂面が何故作れる。
「にしちゃあ堪えようねぇぞ。こんな暗い場所で倒れてた割には」
「…別に、関係ないだろ」
「へぇ?」
その顔はどうにも傷付いて見えたので、まぁしょうがないということにして、それ以上の詮索は止めて俺は餓鬼の赤く汚れた服を洗濯籠にぽいと捨てた。
さぁ、面倒になってきた。
配布元⇒
http://id12.fm-p.jp/2/Fascinating/
何処へ向かうかしかはっきりしてなくて繋がらない…
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