「お気楽な守り方もあったものですね」
皮肉は喉の奥から面白いくらいつるりと流れる。舌に残った味はとても苦くて、しょっぱい。それだけで、吐き出された言葉がどれだけ鋭利で尖っていたのかなんて、僕は知ることが出来ない。だから、そんな痛そうな貴方の顔なんて、見ていない。そういうことにしたかった。
「……ごめんな」
乾いた空気に血で濡れた髪を揺らし、揃いの瞳をそっと瞼で隠す彼は、ディーノはまるで幻のような淡さだ。甘いだけでないくせに何処か夢見がちで、まだ少年の頃を信じている。そういう緩慢で灰色の、冷たく曇った甘味のような。
「でも、お前が無事でよかったよ、骸」
「………余計なことを、」
マフィアに助けられるなんて屈辱だ。
そうやって辛辣に言い捨てると、相手は悲壮に表情を歪める。知らない。彼が、勝手に助けたのだ、関係なんか、関係なんか
「貴方なんか、」
(自分が傷付いて助けただなんて、そんな身勝手な)
刺激を受けてディノむく。
微妙だな…
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