「くだらないな」
言ってやると、奴はただでさえ器用に吊り上げた目を更に三角にする。曇りの無い蒼は、残念ながら見事に、彼の根拠の無い自尊心とか唯我独尊の塊によって澱んでしまっている。
返事をする必要があるのか4秒ほど考えて、今にも殴りかかってきそうなハワードから一歩離れてからもう一度言う。
「…くだらない」
どうしてそうやって、宝石みたいな蒼い目を汚すんだ。あいつと同じ瞳。輝けると信じてる、あの原石みたいな尖んがってても光ってる。あの色。
哀れんでしまってから、苦笑する。ハワードはそんな俺を見た途端、表情を固くした。カオル、と俺を一度呼んでから泣きそうな顔をする。ああそうだ、その少しだけ潤った感じ、好きかもしれない。
俺は背を向けてしまってからも、どうにも可笑しくて笑ってしまう。ルイ、どうしよう。泣きたくて堪らないんだ。
(お願いだから。かみさま)(お前はまだ、光の中に)
ハワ→カオ。カオルはルイを忘れられないといい。
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抱きしめてやったら、その肩が震えた。雲雀の匂いが間近でする。ぽつんと思考がそれだけ残すから、俺は無意識に意識して、ゆっくり息を吸って、吐いた。鼻腔を擽っては抜けていくソレ。おいおい、焦りすぎてるんじゃないか、俺。一応形としては慰めてるハズなのに。
ちろりと、少し下にある黒い頭を盗み見る。
なぁ、今お前どんな顔してるの。こんな腕、お前なら直ぐにでも振りほどけてしまうだろうに。いくらだって俺のこと、そのだらし無く垂れたトンファーで殴り飛ばしてしまえるだろうに。
いっそのこと言ってしまうのもいいかもしれないと思ったけれど、俺は唇をただきつく合わせたままでいた。嫉妬なんて虚しい。なんて臆病者なんだろう。見られて無いのをいいことに少しだけ自嘲気味な顔の歪め方をしてみた。我ながらヘンテコだ。
「ひばり」
呼応してやると、もう一度肩が震える。視線を後ろに感じる。雲雀が俺の首筋をちらりと見たんだろう、多分。わからないけど確かだった。丸い頭が更に俯く。
ごめんな、金髪でなくて。あんたが望んでるのは、俺じゃないんだろう。知ってるよ。
でも、今だけは我慢しててくれ。頼むから。
(あの人よりお前の近くに居られてるって優越感をください)(どうせ死人には敵わないんだから)
ディノヒバ←山。ナチュラルに死ネタですみません。