抱きしめてやったら、その肩が震えた。雲雀の匂いが間近でする。ぽつんと思考がそれだけ残すから、俺は無意識に意識して、ゆっくり息を吸って、吐いた。鼻腔を擽っては抜けていくソレ。おいおい、焦りすぎてるんじゃないか、俺。一応形としては慰めてるハズなのに。
ちろりと、少し下にある黒い頭を盗み見る。
なぁ、今お前どんな顔してるの。こんな腕、お前なら直ぐにでも振りほどけてしまうだろうに。いくらだって俺のこと、そのだらし無く垂れたトンファーで殴り飛ばしてしまえるだろうに。
いっそのこと言ってしまうのもいいかもしれないと思ったけれど、俺は唇をただきつく合わせたままでいた。嫉妬なんて虚しい。なんて臆病者なんだろう。見られて無いのをいいことに少しだけ自嘲気味な顔の歪め方をしてみた。我ながらヘンテコだ。
「ひばり」
呼応してやると、もう一度肩が震える。視線を後ろに感じる。雲雀が俺の首筋をちらりと見たんだろう、多分。わからないけど確かだった。丸い頭が更に俯く。
ごめんな、金髪でなくて。あんたが望んでるのは、俺じゃないんだろう。知ってるよ。
でも、今だけは我慢しててくれ。頼むから。
(あの人よりお前の近くに居られてるって優越感をください)(どうせ死人には敵わないんだから)
ディノヒバ←山。ナチュラルに死ネタですみません。
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