目が覚めると、視界が涙に濡れていた。
「-…?」
慌て拭うも、次から次へと溢れてくる涙にディーノは呆然として、ただただぼろぼろ泣いた。
かなしいゆめをみたらしい、おれは。
でも思い出せ無い。こんなに胸が苦しいくらいどくんどくんと鳴っているのに。
「…どうしたぁ?」
身近な声にびくりと肩を揺らす。
ふと、此処が図書室だったことを思い出した。
課題が、あって。書かないと留年かもしれなくて、それで、図書室で二人して調べて、それから…。
「すく、あーろ…」
頬杖をついて、本に目を通してるフリをしてる彼の名前をたどたどしく口にする。彼は気まずそうにディーノの方へ視線を寄越し、透明涙を見付けると眉根を更に寄せた。
銀色の歪んだ視界で、ディーノは更に鼓動を早くする。
「…夢見でも悪かったのかよ」
こくり、と頷くと、はぁと呆れたようなため息が聞こえる。ディーノはますます縮こまり、俯くと、ぽろぽろ流れた涙が垂直に落ちていく。
-すっ、と延びてきた腕に驚いて顔をあげた。
スクアーロが身を乗り出し、拭った涙をぺろりと舐めた。
「しょっぱ…」
「ちょ、す、すくあーろ!なな何すんだよお前!」
「阿呆、そんだけ元気あんならとっとと続きやるぞぉ」
突然のことに紅潮する頬を無視して喚くけれど、スクアーロは動じた様子も無く元のように座り直し、本を読み始める。
からかわれた、そう思ってむくれて睨み付けていると、スクアーロと目が合う。
「寝るんなら、そのあと俺の傍で寝ろ。怖い夢なら助けてやる」
--ころしもんくだ、そんなの。
気が付くと、涙も止まっていた。
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ディーノさんハッピーバースデー!
予想外に恥ずかしい話になって穴に埋もれたくてしょうがないです。
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