軽口と括るには邪悪過ぎるいつもの言葉遊びをしながらも、車の窓ガラスを通して運転席を照らす西日に、俺は思わず目を細めた。唯一俺の紅瞳を守ってくれている知覚眼鏡は、残念ながらサングラスの代替品にはなりえない(所詮は測定器だということだろう)。
「なんだ、ガユスは本体さえ役立たずなようだな。眼鏡置場」
「阿保。太陽が俺のかっこよさに嫉妬しているだけだろう?このくらいお熱いほうが好みだ」
「…貴様の中でも稀にみる、最低ラインのジョークだな」
「そりゃあどうも」
言いながらも一旦停止。知覚眼鏡を一先ず外すことにする。こういうときは、伊達であるなら尚更、レンズは視界を悪くするだろうと思ったからだ。証拠に、目が陽光に当てられて、うっすら涙が浮かんでいるのがわかる。
「……? なんだよ」
そんな時不意に視線を感じて、こちらをじっと見てくる相棒に訝しげに問うた。
「………いや、」
いつも迷いの無いこいつにしては珍しく言い淀み、はぁ、という溜め息がそれを締める。
「眼鏡を取るな、ガユス。それじゃあお前の居る意味を成さなくなるぞ」
…次いで出た相変わらずの憎まれ口に、自分の付き合いのよさとお喋り癖を、心から嫌悪した。はぁ。
拍手にしようとしてたものその2。
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