「なんで彰が泣くの?」
ああそうか、俺は今泣いているのか。言われてから気付いた。言葉に成りそこねたそれはへったくそに喉の裏側にへばり付いて上手く取れない。気孔が狭まって息を吸う度に喉仏に跳ね返ってはひっくという、不快な音に嫌悪した。
「泣かないで彰。泣かないで」
俺なんかのために。
畜生。馬鹿言いやがって。ならお前が泣けよ。その綺麗な顔がくっちゃくちゃになっちまうまで、泣いてくれよ。惨めでも無樣でもいいじゃないか。お前がそんな、困ったように笑うから、俺が泣かなきゃいけないんだろうが。
世界はお前に厳しかったから。こんなときくらい、甘やかされて生きろよ。
(そうでもなけりゃ、俺が世界を壊してしまうだろうから)
彰と海斗。幼い頃の記憶。
早く本編書かないと。
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