「俺、どうせ死ぬならヒバリの隣で死にたいな。」
酒を飲むと彼は、たまにそういうふざけたことを零す。そんな時に僕は決まって、馬鹿馬鹿しいと思いながらレモネードを口に運んだ。(別にレモネードである必要はない。気分によって、ジンジャー・エールでも、オレンジ・ジュースでも、なんでもいい。とにかく、そういったモノなのだ。酒はもともとあまり得意ではないし、今はワインを切らせている。彼が好む日本酒やウイスキィなんてものは、飲む気もしなかった。)
僕は彼の言っている意味の半分だって、本当は理解していない。それは知りたくないというか興味が無いからだとずぅっと思っているのだけれど、最近はあんまり自信が無くなってきている。
「僕は君が隣で死ぬのなんて真っ平だよ」、なんて言ってやったら、彼は「寂しいこと言うなよ、看取ってよ」、とかなんとか図々しいことを言ってきたので顔をしかめる。
こいつは死ぬときに何を考えるんだろう。まともな答えなんて返ってこないだろうから、彼には聞かないけど。
ただ彼が最後に息を吸って吐き出す瞬間を思ったら、無性に腹が立った。それで考えてしまった自分に、凄くむかついた。
(ああ、まったくいらいらする!)
Title Thanks!!『不在証明』
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多分十年後山ヒバ
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