「人は生まれたらどこにいくの」
彼女の言葉につまるところなんの意味もないのだ。くだらない言葉遊びの一つで、単純な興味本意。もともと何を考えているのかよくわからない彼女の真意など、探ろうとも思えなかった。る
それでも僕は律義に口を開くことにした。それが契約主からの言い付けなのだ。
「人間は生まれたら死に向かうんだ」
「…死ぬために、生まれるの?」
「…いや、なんのためにも、生まれない」
つまらない質問だ。僕は悟られないようにこっそり音のない舌打ちをする。
命の重さとか死ぬ意味とか生きる意味とか、そんなものはどうでもいい。結局のところ、生まれた意味も死んでいく意味もありはしないのだ。それは理であり理屈であって、意味を成すものではない。ただ僕たちは生まれ、死んでいく。死は平等であり、重さのあるものではない。ただ遅いか早いかのみなのだ。
「…セレナ、じゃあ大事な人が死ぬことに、意味はない?」
彼女が、サリナがふと、真摯な顔をした。いつも眠そうにしている瞼をすっと開き、じっとこちらを見る。
「……どういう意味だ」
「…わかんない。でも、好きなひとには、わたし、なんの意味もないなんて思いたくないの」
それは人間がどこにいくかじゃない。ただ自分の勝手な気持ちじゃないのか。
言ってやってもよかったのに、何故か僕はそのときそうだなと珍しくも他人の意見に同調してしまった。でないと自分がなんのためにここにいるのか、わからなくなるからかもしれない。
(ああ、でも、なんで)
***
久々一次。
書き始めたときは書きたいことが漠然とあったんですが、途中で意味がわからなくなったので適当に切ります。すみません、わかりづらいにもほどがある(死
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